エコバトンVol.03 『本物の森〜いのちの森〜を創る』

輪王寺副住職 日置道隆さん

1962年生まれ。通町小・仙台二中・仙台二高・駒澤大学仏教学部仏教学科卒業。輪王寺副住職として、平成16年からお寺の境内で植樹を始められ、その総本数は今年で3万本を数えるとのこと。現在は、お寺から出されるお供え花や落ち葉を有機堆肥にしたり、竹筒や間伐材や炭にしたりというような取り組みを積極的に展開されている。

また、植樹の取り組みを多くの方々に身近なものにしてもらうために「植樹マン」や「植樹ウーマン・コノハ」を生み出すなど、アイディアマンとしての一面も持つ。

■輪王寺

 第3回目の「エコバトン」にご登場いただくのは、輪王寺の副住職をされている日置道隆さん。日置さんは伊達家とゆかりのある曹洞宗輪王寺で「本物の森創り」を実践されている。今回はその森創りの一端に触れさせていただくため、まだ雪が残る境内を日置さんのご案内を受けながら歩いてみた。

 輪王寺は仙台の街並みを一望できる北山の地に御堂を構えて400年余りの歴史を持つ。その境内に入りまず感じたのは、100万人都市仙台の真ん中に深く豊かな森があることへの驚きだった。そして日置さんとともにウッドチップが敷き詰められた道を通り森の奥へと歩を進めると、あまり見たことのない樹木が多いことに気がついた。そこで、樹木の名前について伺ってみると意外な答えが返ってきた。

 「これらの木はこの土地本来の木ですよ。決してめずらしいものではないのです。」

 日置さんによれば、その土地に古くから生えている「土地本来の木=ふるさとの木」は環境変化に強いとのこと。さらに、いろいろな種類の木を植えることは森が持つ本来の機能を保つことへとつながるそうだ。輪王寺ではこの森を創り、未来へ向けて引き継ぐためにさまざまな取り組みが推進されている。

 そのひとつが市民とともに行う「植樹」の取り組み。輪王寺の山には2004年6月の第1回植樹祭以来、約3万本のふるさとの木が市民の手で植えられている。この取り組みは、横浜国立大学の宮脇昭名誉教授のご指導のもとに行われてきた。

 輪王寺が植樹を始めるきっかけとなったのは、仙台市の道路改修工事に伴い境内の樹木の一部を伐採しなければならなくなったこと。このとき、日置さんは森や生態系そして植生などに関する知識の必要性を痛感し独学で学んだ。その過程で宮脇さんの著書と出会い、手紙を書き直接宮脇さんに会いに行くこととなる。

 「あのときはとにかくできることからやってみようと思っていました」

 宮脇さんとの出会いで大きな勢いを得た植樹の取り組みは、その後も年に一回のペースで続けられている。さらに、お墓に供えられた花々や落ち葉などを捨てずに再利用したり、卒塔婆を細かく粉砕して堆肥にするなど、お寺ならではのリサイクルも推進しているそうだ。

 現在、日置さんの取り組みには宮脇さんを始め多くの方々がさまざまなかたちで関わっている。そこにあるのは「とにかくできることからやってみよう」という日置さんの行動力に対する多くの人々の共感なのかもしれない。輪王寺の森から始まった「本物の森創り」の輪は、「杜の都」仙台を美しく豊かに育んで行くことを目指して確実に市民の間に広がっている。

 

バックナンバー
エコバトンVol.03 『本物の森〜いのちの森〜を創る』
エコバトンVol.02 『野菜が発する力に全身を傾ける』
エコバトンVol.01 『できることから始める循環型ライフスタイル』